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25 甘い香り

Author: 栗栖蛍
last update Last Updated: 2025-06-06 08:43:25

 唐突に始まった智と咲の模擬戦は、圧倒的な咲の勝利で終わった。

「油断しすぎ」

 呆然とする智の肩を叩いて、湊が呆れ顔で苦笑する。

「いや、だってアレってさ……」

 口元に拳を押し付けて、智は言い掛けた言葉を飲み込んだ。

 咲に隙を突かれた彼は、その状況に偶然以外の何かを感じているようだが、

「……そういうこと?」

 そっと呟いた声は、ひゅうっと吹いた風に掻き消えた。

 智の口元が薄く笑みを滲ませた途端、彼からどんよりとした空気が消え去る。

「なら海堂にわざと負けてやったのか?」

「いや、わざとじゃないよ。俺の負けだ。すごいな咲ちゃん」

 きっぱりと負けを認める智に、咲は「やったぁ」と声を上げて、くるくると回した木の棒を「ありがとな」と湊へ返した。

「ほんと、あっという間だったよね。私なんて殆ど見えなかったよ」

「だろ? 智もまさかこんな可愛い女子に負けるとは思わなかっただろうよ」

 どんと胸を叩いて、咲はニヤリと笑う。智への怒りの余韻をその笑みに感じて、芙美は「もう」と溜息をついた。

「剣で湊には敵わないと思ってたけど、まさか咲ちゃんにまで負けるとはね」

 智は「残念だよ」と口にするが、悔しがっているようには見えなかった。むしろ嬉しそうな、面白がっているような顔を咲に向けて、「じゃあ、そろそろ」と芙美を振り向く。

「魔法使うトコ見せてあげようか? カッコ悪いところ見せちゃったから、挽回させて」

「うん、見たい!」

 芙美はいよいよだ、と興奮を募らせる。芙美にとって今日一番のメインイベントだ。

「智の魔法は凄いからな」

 湊でさえ彼を褒めるが、ここにきて咲がまた不機嫌になった。

「まぁ、せいぜいカッコつけてみろよ」

「どうしたの、咲ちゃん」

「何でもない」

 不貞腐れたようにそっぽを向く咲に、智は「これくらいはさせてよ」と苦笑いして女子二人に向き合った。

「俺たちが居た世界で魔法を使える人間は稀で、全体の一割以下。その中でもリーナみたいにウィザードを名乗れる実力を秘めてるのは、その時代ごとに一人いるかいないかって位なんだ。血縁とかも関係ないし、突然変異みたいな感じかな」

 魔法について説明する智に、芙美は「うんうん」と目を輝かせる。

 隣では機嫌を損ねたむくれ顔の咲が、仁王立ちで聞いていた。

「見てて」

 そう言って智は広場の中央へ駆け出す。真ん中より少し奥まで行
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  • いもおい~日本に異世界転生した最愛の妹を追い掛けて、お兄ちゃんは妹の親友(女)になる!?   50 アイツは僕の妹だった

     エレベーターを十階で降りて、蓮は眺めの良い通路に並んだ扉の一番奥を開いた。 綺麗だけれど殺風景な部屋だ。人の居る気配がまるでなく、咲はモデルルームのようだと思ってしまう。パーティでもできそうな広いリビングには最低限の家具だけあって、隣の和室はがらんどうとしていた。半分開いたウォークインの中には、引っ越し会社のダンボールが敷き詰められている。「何もない部屋だな」「おじさん独身だし、色々考えてるんだろうね。ところで咲ちゃんはご飯食べてきた?」「蓮は?」「俺は食べたけど……」「じゃあいいよ。さっきクリームソーダ飲んだから」 考えることが多すぎて、食べることが後回しになってしまう。コンビニで買ったお茶を半分だけ飲んで、胃が満足してしまった。「クリームソーダって、芙美が好きなやつじゃん。ちゃんとご飯食べなきゃダメだよ。米ならあるけど、どっか食べに行こうか?」「米があるなら炊けばいいよ。外には出たくない。キッチン借りてもいいか?」「いいけど。作ってくれるの? この間のカレーうまかったよ」「料理は得意なんだ。おにぎりならすぐできるだろ?」 リビングとカウンターで仕切られたダイニングキッチンに入って、咲は冷蔵庫を開ける。住人が不在だから空なのは予想していたが、冷蔵室はコーラとビールと水で埋まっていた。「うわぁ。このお酒、蓮も飲むのか?」「おじさんが置いてったやつだよ。飲んでもいいよって言われてるから飲むけど。俺、一応二十歳だから」「うちのアネキと一緒だな」 そんな話をしながら、咲はといだ米を小さな炊飯器にセットする。蓮は手伝おうとしてくれたが、あまり役には立たなかった。「そういえば今日芙美が浮かれて帰って来たけど、学校で何かあった? 咲ちゃんからのメールにも書いてあったけどさ」「あぁ、何かあったんじゃないかな」 芙美が湊と学校をサボった事を告げ口するつもりはないが、彼の言葉から二人を想像すると嫉妬心しか沸いてこない。 不機嫌に頬を膨らませる咲に、蓮は、「咲ちゃんの悩みって、もしかしてそれが原因だった?」「そうじゃない。アイツらのことはいいんだ。私が話したいのは……」 咲はソファへ移動して、少し頭の中を整理する。蓮は隣に座るのかと思ったけれど、テーブルを挟んだ向こう側へ行ってしまった。 頭の中に過去やリーナのことを並べていざ話をしよ

  • いもおい~日本に異世界転生した最愛の妹を追い掛けて、お兄ちゃんは妹の親友(女)になる!?   49 そういうのは無防備って言うんだよ

     夜の都会は人も灯りも多すぎて、空を見上げなければまだ昼間のような気がしてくる。 頭の中のモヤモヤした気持ちは何一つ解決していないけれど、蓮に会ってホッとしたのは嘘じゃない。「メールじゃなくて、話がしたいなって思って。電話でも良かったんだけど……」「会えたのは嬉しいけど、流石にこんな時間だし家に帰る? 今から話したら終電もなくなるよ?」 蓮がスマホで時間を確認して、駅の方を一瞥する。 そんなのは咲も分かっている。最終は十時半。田舎へ行く電車なんて、そんなものだ。「芙美の家に泊るって言って来た」 それは別に一人で夜を徘徊する選択もあったからで、蓮と過ごすためではないけれど。「えぇ? 本気? ウチに来てもいいけどさ」「駄目だ。できるわけないだろう?」 咲はそのシーンを想像して、強めに訴える。「芙美の居る家に蓮と行って、何て説明するんだよ。別に一人で公園にでも寝ればいいよ……」「そんなことさせられる訳ないでしょ? けど、朝までファミレスとかカラオケって訳にもいかないか……高校生だもんね」 自分でも訳の分からないことを言っている自覚はある。蓮を困らせてしまうのは重々承知だし、流れとはいえ彼に甘えてしまっている自覚もある。 流石に申し訳ない気持ちになった所で、蓮が額に手を当てて「うーん」と唸った。「ごめん……なさい」「俺は構わないけど、本当にいいの? 朝まで一緒に居るってことだよ?」「蓮が嫌じゃなかったら」「嫌じゃないよ。じゃあ、とりあえず行こうか」 背を向けた蓮に「うん」と答えて、咲は彼の横に並んだ。「どこへ行くんだって聞かないの?」「どこでもいいよ」「どうでもいいみたいに言わないで」 蓮が「もぅ」と咲を覗き込む。「……じゃあ、蓮とならどこでもいいよ」「だったら嬉しいんだけど。芙美が咲ちゃんの話する時ってさ、いつも強くて明るくて楽しくてって言うんだよ。けど、俺の知ってる咲ちゃんは、ちょっと違うよね」「別に、こんな暗い女嫌なら、ここに置いて行ってもいいんだぞ」「そうじゃなくて。また不安そうな顔してるから、この間よりは話してくれたら嬉しいなと思ってる」「うん……」 今まで誰かに自分の過去を知って欲しいなんて思ったことはなかった。ヒルスが本当の自分で、咲は仮の姿みたいなものだと思っていたからだ。 けど咲として芙美に会っ

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